鵠沼海岸「埜庵(kohori-noan)」

 今年の勤労感謝の日は、この秋一番の冷え込みと、関東地方では下り坂の天気が重なり、お出かけ日和とはならなかったのですが。前々からいきたいと思っていたお店にこの日こそ行こうと思っていたので、天候に関係なく出かけることにしました。目指すは鵠沼海岸です。
 鵠沼海岸は昔、幼なじみが住んでいて遊びに来たことがあったんですが、まさか食べ歩きで来ることになるとは思いもしませんでした。鵠沼海岸の駅から降りて、閑静な住宅街を目指すこと徒歩1分。他の住宅と変わりないたたずまいで、「埜庵」は立っています。
 本当に住宅そのままのお店の2階に案内されると、リビングだったんだろうなあという場所にテーブルと椅子がズラリと。その中の1つに腰をかけ、まずは、毎日の仕込みが少ないという「和風ビーフシチュー」をいただいて体を温めます。

 このお店は「かき氷専門店」だったはずなのですが、このシチューが本当に美味しい! あの、よく洋食屋さんとかでいただくビーフシチューの中にはこってりが行き過ぎて、しつこい感じのモノもあるのですが、このビーフシチューはしっかりしているのにしつこくない。それにコクがあって、後引く味に仕上がっています。そして中央にでーんと置かれた大根もよく染みていて美味しい。洋風おでんって感じでしょうか? お肉も非常に柔らかい。
 左側に大きく添えられたのはガーリックトースト。切れ目が入っていなくて、女性には若干食べにくいかなあと思いますが、ワイルドにシチューに付けていただきました。これがまた合うんだよなあ。
 ものすごい勢いでシチューを食べ終えた後は、待望のデザートが待っています。

 この時期にかき氷です。
 いやいやいや、これが美味しいの! 秩父・阿左美天然氷をお店のマスターが実際に作り(!)、その氷を使った1日300杯限定の絶品かき氷なのです。前に友人がこのお店に来て「このかき氷は絶対に食べた方がいい」と絶賛。それは是非食べたいなあと思いを募らせ、やっと今日対面できたわけですよ。
 写真のかき氷は「鎌倉」。かき氷を和三盆糖でいただく、非常にシンプルながら氷の味がよくわかる一品なのですが、これが信じられないほど美味しい。生まれて初めてかき氷で衝撃走りました。大げさじゃなくて、本当に、そのぐらい驚きがあるぐらいの美味しさ。ちゃんとした氷って甘味があるんだね。そして和三盆糖との相性が抜群。横には練乳が添えられていて、大好きなんですけれど、かけるのがもったいなくて、そのまま食べていました。
 残りわずかになったところでマスターが2階にあがってこられて、お話ししていたんですけれど。

「いやあ、練乳好きなんですけれど、かけるのがもったいなくて」
「その練乳も自家製なんですよ」
「すぐにいただきます」

 いや、この自家製練乳もすごい! コクと深み、甘さがあるのに、とてもサラサラしているんですよ。練乳そのままで飲めます。実際、飲んだ。そんな練乳をかき氷にかけると、また違った魅力が引き出されるじゃないですか。
 気がついたら、あっという間に「鎌倉」を食べ終え、どうしてももう1杯食べたくなった僕は、耐えきれずに追加注文をすることに。

 2杯目は、この季節限定の「生イチゴ」。生のイチゴを惜しげもなくフレッシュジュースにして、かき氷にたっぷりかけた一品です。横に添えられたのは練乳と、ココナッツミルクと練乳が合わさったシロップ。
 この「生イチゴ」は、最初から最後まで口の中一杯にイチゴのジューシーさが広がる、贅沢な1杯。練乳をかければ絶品のイチゴミルクが、ココナッツミルクのシロップをかければ、また違ったフルーティさが味わえます。オススメはやっぱりそのままかな。個人的には練乳をかけたのも捨てがたいけれど。

 すっかり満足していると「体冷えちゃうといけないよ」とマスターがコーヒーをご馳走してくれました。マスターとのお話しも楽しいし、店の雰囲気もGood。そして何より味が素晴らしい。12月下旬にはお休みしてしまうらしいので、その前に、この季節に味わえる絶品かき氷、堪能しにいかれるのをオススメしますよ。


「埜庵(kohori-noan)」